F-4 PhantomU1981

ェット戦闘機への憧れはF15,F16に始まるが、名前だけは知っていたファントム。2代目Uであることを知ったのはずっと後のことだが、クリップドデルタに外翼のみの上半角、双発エンジン後方のブームに生えた下半角付水平尾翼は暴走族的かっこよさ。F3Hの後継機としてベトナム戦で強力火器を携え活躍し、航空自衛隊でも使用中の最も個性的で美しいラインを持つ、愛すべき飛行機。
RC機にとって上半角はありがたい個性ではあるが、後退角付きで十分横安定を持っているところに更に上半角を付け、減少した方向安定を補うべくご丁寧に下半角水平尾翼はどうも合点が行かぬ。ソ連がF4を真似たというSu15フラゴンでさえ上半角は付けてない。どなたか背景ご存知の方メールください。

RC機としては丸鷹の60版が存在したが当時とても大型、強力エンジン搭載機のイメージで、手は出ず20クラスで自作となったがラジコン技術掲載記事丸鷹ファントムは何度も見返し、構造について参考とした。
しかし翼型は先端とがりでは失速特性悪と判断し(本物のジェット機ではないのだから薄翼、キャンバー後退は意味無し)ホーネットと同じNACA0012を採用、翼面積は上面から見るとちょっとカッコ悪いかなと感じるレベルまで拡大し目標翼面荷重を75g/dm2くらいとした。

作は例によって3mmバルサ側板に3mmベニヤ胴枠は変わらずエアインテークから排気ノズルまでを1.5mm、他を2mmバルサプランク、水平尾翼はオールフライングのため根元に2mmアルミ板で取り付け部を表現し左右をφ5mm程度の真鍮パイプにて接合し剛性を確保。
主翼はドッグツースより内側は胴体固定で外翼は2本のカンザシピアノ線で着脱可能、外翼エルロン(実機はエルロンリバースとアドバーズドヨー懸念で内エルロン)、内翼はファウラーフラップ(ヒンジ位置を下方にずらしただけの粗悪品)、また各所にダミー増層タンクなど搭載に備え堅木ハードポイント設定。キャノピーは初めてオス型を製作し熱した塩ビ板(0.5t)にてスクラッチ、丸鷹のよりカッコいいか。



    全長    :1050mm
    全幅    :1060mm
    翼面積   :24.5dm2
    Vh     :0.4
    Vv      :0.036
    重量    :1970g
    翼面荷重 :80.4g/dm2
    エンジン  :エンヤ21CX
    ラジオ   :6ch、6サーボ

 

同クラスで軽量とはいえない1970gとなったのは、引き込み脚、フラップ、ハードポイント設定、外翼外し機構などの贅沢仕様によるもので、初期のコンセプトから外れる結果となった。

 

 

生の滑走路は決して平坦ではないがフルスロットルで難無く離陸、トリム調整もそこそこに、不安なオールフライングスタビレーターも変な挙動無く、外翼の上半角のせいか癖も無く飛ばしやすい。
ループ、ロール、背面は難なく、フォーポイントロールはナイフエッジで当然起きるが何とか形に、いよいよフラップを少しずつダウンすると右にロールしながら下降していく、これは危ないと即フラップアップ。
単純にフラップ角度の左右不均一がロールの原因といえるが、もう一つ能書き言えば、ファウラーフラップは隙間を利用した技術であること。いいかげんな設計と工作では左右均一は無理で、当然実機の技術は小さな模型には空気粘性の影響で同じ効果を期待するのはお門違いで抵抗にしかならないと思われるが、やってみたいのが好奇心。
下降したのは当時意外で、フラップダウンすれば確実に上昇傾向になると信じておりエレベータースティックはダウンを準備するほど。いきなりジェットタイプでフラップ試す人はいないかも知れないが、翼弦長く、テールモーメントの短い機体ではフラップダウンによる主翼揚力アップの頭上げモーメントよりも主翼周りの頭下げモーメントが上回るということでしょう。無尾翼機のエレボンダウンは極端な例。
重くなった割に飛行は順調そのもので着陸もホーネットに比べずっとスタント機に近いフィーリングで最スローでの極端な沈下も無く無事着陸。

フラップ効果を十分堪能うすることも無く次回作製作突入により引退したが、贅肉を殺ぎ落としてより実機により近いプロフィールで再度製作したい機体です。