EF2000
(タイフーン)       1994〜1996

 

国共同開発EF2000とフランスダッソーラファールが似てると思いませんか。
それもそのはずルーツをたどると1970年代中期、イギリスはジャギュアの、フランスはミラージュF1の、そして西ドイツはF4の後継機共同開発計画にさかのぼります。大型、強力武装、最新のアビオニクスなど戦闘機開発費用はうなぎ上り、1国だけで戦闘機を開発できる国は限られる。フランスはエンジン問題?より計画から脱退、ラファールの前身ACX開発計画を打ち出し独自路線を進み、また抜けたフランスに代わりイタリアが加わりEF2000の前身ACA開発がスタートした。基本形は双方とも双発カナード形式で、カナード機としては他にサーブ35ビゲン、クフィル、ラビ、JAS39グリペンおまけにラファールなどあり斬新といえるほどではないが、比較的前進させた積極的なカナードの扱いに当時からどう開発されていくか非常に興味深く見守っていたのです。さらにスペインが計画に加わりEFAの呼称となり、1986年にデモンストレーターであるEAPがBAeで製作され初飛行。小型でダブルデルタ以外はEFA、ややかっこわるいがビデオ映像で見る飛行は軽快、高機動の印象なるも同時に飛行してたラファールは完成度高く追い越された感じ。開発遅れも開き直り、就役目標を2000年とし名称をEF2000と改め現在に至る。

F2000の特徴は私の目には空力に尽きる。従来の尾翼形式や無尾翼デルタ翼形式を捨て、カナードを採用したのはすべての翼が揚力を発生しうる恩恵とフライバイワイヤとの融合による高機動の実現。見慣れ無い平面形は個性の塊でいつしかRCで飛ばしたいものと考え構想を暖めていたのでした。ロールアウトと初飛行の模様を伝える航空ファン誌(1994、7月号)で初めて3面図がアバウトながら掲載され早速設計開始。
ホーネットの実績を参考にしつつ揚力係数の低いデルタ翼、しかしカナード揚力で相殺されるとして僅かに翼面積拡大22.7dm2とし翼面荷重70g/dm2を目標。エンジンはノーズ周りスケールアップと重心位置の関係より最後尾プッシャーに配置、引き込み脚を装備しながらも原点に戻り軽くをコンセプトに、更にカナードならではのCCV的飛行を頭に描きながら図面化。

は完全対称極薄(レシオ忘れた)でヒノキスパーを翼端にかけてテーパーに削り、2mmバルサリブ、前縁1.5mmプランクの通常スタイル。胴体はホーネットでのねじれを考慮しゼロ戦などの丸胴製作に見られる治具を利用してみた。15x20のヒノキ角材をバックボーンとして極限?まで肉抜きされた3mmベニヤ胴枠を仮付けし、3mmバルサ側板、曲面2.0、1.5mmプランクが済んだところで治具たるヒノキ棒を外し、更に胴枠の不要部(主翼取り付けによる強度アップで胴枠強度過剰になるところが出る)を削除するとねじれも無く思惑通りのし上がり。y(^o^)y
キャノピーはバルサでオス型を製作0.5塩ビ板で成形、ノーズコーンは初めてのバルサオス型に石膏メス型でのFRP加工だがメス型からの離型失敗でパテ埋め修正、エンジンはホーネットで使用したエンヤ30ssに逆ピッチぺラ。
 

 

 

 

 

主翼後縁の動翼は当初内エレベーター、外エルロン形 式も考えたが工作面倒でそのままエルロンよろしく設定し、リンケージでエレボンとした。カナードは4mmバルサ1枚だがねじれ剛性弱く、一部カット後繊維方向クロスで接合し強度アップ、オールフライングの軸は3mmピアノ線をカナードに埋めこみエポキシ固定。胴体下面のエアインテークからエンジンまではメンテナンスハッチとしてボール紙細工にて着脱可能に製作。
被覆は絹貼りラッカーにて実機1号機を参考に地味カラーにて、最後にクリヤドープを吹き、ぺラ当たり防止にピアノ線橇を後部に取り付け、ジェットノズルはプリン容器加工にて再現。

 

初ピッチ操縦はカナードのみも考えたが、実機のEAPやラファールの飛行を見るとすくなくとも離着陸など低空低速時は風見鶏のように進行方向に平行で、機能してないように見える。ほとんどエレボンでピッチアップ対応しているのだろうか。実機ではフライバイワイヤで最適カナード迎角制御ができるため低速でも平板カナードの失速無く機能していると思われるが、それでもカナードは補助(空戦メイン)的扱いなのだと考える。RCには迎角センサなどあるはずも無くオールフライングではなおさら大迎角で失速し易く使い物になるか疑問あった。そこでメカニカルリンケージでエレボンとし、ピッチ操縦をカナードと分担させることにした。(この時点で主翼のカナード付による揚力損失改善効果が期待できなくなった)が、予想通りメカリンケージでは剛性不足で信頼性無く、思い切ってコンピュータープロポの廉価版?FF6を購入、スピードブレーキ設定ではカナードアップ、エレボン微ダウン設定にするなど、あーでもないこーでもないと不思議な飛び方を想像しながらかなりの時間をインプットに割いた。

〆て1650gなり。

飛行はいきなりおおとり飛行クラブイベント「第4回バトルウインングイン福島」で愛機スピットファイヤーとダブルヘッダー。
風はなく申し分なし。スピナーがないので(すこしでもテールを軽くしたい)スターターゴムは裏返しに、プラグヒート、スタータースイッチON、エンジンスタートすると手に冷たい。キャブレターからの余分な燃料が飛んできたプッシャーならでは感覚。エンヤのエンジン音は甲高いな!でもジェット機には合ってる。と思いながらアスファルト70m滑走路へ誘導してもらうと最終舵確認と風向き確認、もう思い残すことは無い。

   全長:1080mm
   全幅:900mm
   翼面積:22.7dm2
   カナード面積:2.7dm2
   重量:1870g(バランスウエイト含む)
   ラジオ:6ch、6サーボ
   

 

 

 

フルスロットル!!完璧な直進性、ラダーの当て舵は意識するほど無くぐんぐん加速、エレベーターを僅かにアップするも浮かず!?滑走路エンドに残りわずかと迫り思い切って深くエレベーターアップ。浮いた!

いきなり機首を垂直近くに向けロールを始めた。その間大急ぎのスティック操作にもまったく反応無く機首から地面に激突。ヒコさんの残念(^o^;)?のアナウンスが流れる中、早々に現場検証へ。
最大高度が10m余りであったことと、滑走路を抜け草地だったこともありノーズ以外はほぼ原型を保っている。重心ミス以外にない。まず根本的に燃料満載状態(タンクは当初最後尾にあった)で重心確認怠ったのは人災。

 

 

 

これが原因と思ってノーズを修理し、ノーズコーン先端に鉛を入れおよそ20mm重心を移動し再トライ。相変わらずの直進性に助けられなんとか離陸するもロール、ピッチともめちゃくちゃ迷走飛行、スティックは大忙し、トリムなんてどうでもいい、心臓バッコンバッコンこりゃだめ間違い無く墜落だ!の緊急事態。周囲も心配そう?期待?何の?(こういうのってキットの機体をそのまま作っては味わえない魅力なの!?危険)。精魂尽きエンジンスロー、するとどうでしょう急におとなしくなったではないか、機首をやや上げ気味にロールも安定しながらゆっくり降下し草薮に不時着ほぼ無傷で回収ほっ。
実機では空力的に負の安定を与え高機動を実現するがRCにフライバイワイヤーあるはずも無く風圧中心が前進した機体を操縦できるほど指先器用ではないのです。
当機は設計段階でよくある幾何学計算で主翼、カナード翼のMAC、カナードの定石通り風圧中心を求めるだけでなく、1/1スケールのプロフィールグライダーをウレタン板で製作、2chで操縦までして重心の確認を行っており模型なりの設定に自信はあった。ああそれなのにこの様は?!
プロフィールグライダーは後にCOX049エンジンを搭載し実験を試みる予定であったが、いつしか興味が覚め中断したことが後悔される。推力の或る無しではこれだけ違うのか?またうすうす感じていたのは重心からノーズの長いデザイン。ノーズコーンやキャノピーからも揚力が発生し算出できない風圧中心移動があったはず。(確かにプロフィール機では胴体に揚力発生はない)実際このあとも懲りずに重心を少しづつ前進させるごとに飛行は楽になってきたが大事をとり離陸後はフルスロットルを避けた。燃料ポンプを持たないエンジンのため燃料タンクは姿勢による燃料吸引変化を考慮し最後尾に設定していたが、重心移動手段として錘の追加は忍びなく、より中央へ移動し飛行、だいぶ落ち着いてはきたがピッチングは修まらず、そのうち今度はフルスロットルでラダーがフラッターを起こすことが判明、遂にはラダーがヒンジより外れペラで破壊、吹き飛ばされてしまった。それでも追加してあった胴体下部のベントラルフィンが効いたかどうかわからないがヨーイングに何事も無く飛行し無事回収。更に錘を追加し垂直尾翼上端を切り落としラダーに空力ホーンバランスとマスバランスを加えとうとう重心位置は総計60mmも前進し、不本意ながら全備重量も1800gを超えた。
ここまでくると操縦は楽しくなる。飛行の度に発見がある。夏はプッシャーのためかエンジンはオーバーヒート気味になり飛行前のアイドリングはご法度でプリン容器のエンジンカバー兼ダミージェットノズルはテールを軽くする意味も兼ねて削除。
とある実機の飛行場で幸運にも飛行できたときは、エンドレスの滑走路で十分加速すれば文字通り糸を引いたような離陸ができるだろうと臨むが、相変わらず浅いアップでは浮かず深いエレベーターアップでいきなり上昇。メインギヤの位置が元々重心位置より幾分後と思っているところにどんどん重心を前進させた結果、離陸の方向安定はベストなるも機首上げ困難になっていたのでしょう。
最後に着陸。練習機なみとは決して申しません。スローにすると沈下はものすごくスロットルワークが肝心。最終アプローチになったら中スローちょい下くらいで誘導するが、デルタ翼特有の機首上げ姿勢は模型でもいっしょでかっこいいことこの上なし!苦労が吹き飛ぶ瞬間。高度2mくらいまでくると最スローにしたくなるが逆に少しパワー。揚力係数が低いデルタ翼はフレアーとかいってエレベーターアップで大迎角にすると抗力が急激に上昇し揚力どころで無くなり滑走路にドスンが関の山。(メインギヤの破損が無いのは強度過剰と思われたヒノキスパー材のお陰)このパワー加減ができるようになるとこんな面白い機体はないのです。
今ではフルスロットルでギヤアップすると、すばらしいスピードでローパスやロールはもちろんナイフエッジ、フォーポイントロールなど切れのよいロール系アクロが危なげなくでき,おおとり飛行クラブ会長の丸鷹F4ファントム栄機とドッグファイトもやってしまうほど。でも肝心なループだけはまだ引き起こせないのではという根拠無い億速で躊躇しているが、そのうち絶対トライするでしょう。

実機ではフライバイワイヤコンピューターがダウンするとピッチが暴れ即墜落とのこと(コンピューターは4セットで安全確保)。実機の重心位置を知る由もないがメインギヤの位置を参考にするととんでもないことになる見本のような機体。そのうちカナードはフリー(旧ソ連ではフリーのカナードをMIG21に搭載しロック、アンロックで飛行特性を実験したらしい)としエレボンのみでピッチ操縦を試みてみるつもりです、これにより風圧中心は後退しバランスウエイトは幾分削減できそうです、果たして吉とでるか?

材料費2万円もかからない(ラジオ、エンジン、既成部品含まず)エコプレーンながら十分楽しませてくれた1品で、更に熟成予定。